
2021年6月20日大久保ひかりのうまにて死神紫郎と呂布000カルマの2マンライブが行われた。
筆者天使弾道ミサイルは早朝の新幹線で大阪から東京へ向かう。リハ前に到着し、死神紫郎と合流。お馴染みの顔だが、何故か顔が疲れている気がする。気の使いすぎか、はたまた迷惑に対する感受性の強さか。続いてDJのATSUKI氏、呂布000カルマ氏が到着。本番を迎える。
トップバッターは呂布000カルマ。最近名前を呂布カルマから呂布000カルマに変更。期間限定のようだがそこにはあまり触れない。名前なんか気分であろうし、文章に落とし込むまでもない程の恐ろしい気分であろう。気分というのは怖えー。
一聴する。耳を傾ける。
不思議と呂布000カルマ氏の楽曲は集中力を要さない。リリックを掬えば掬うほど、噛みごたえがあり、味が出るのだが、波のように掬えば一杯の水、冷凍すれば氷といったような、受け手側の感性によって変容するエネルギーのようだ。解釈の入る前のよりフラットな言語。解釈なしに人間は言語を吐くことができるのだろうか?例えば「死ね」という言語には既にネガティブな印象が入ってる。それは生きることが良しとされていることが前提だ。解釈があってからの言葉なのか、言葉ありきの解釈なのか?言葉は認識と相互作用である。呂布000カルマ氏のリリックは非常に音として気持ちがよく、非常に耳障りがよいのに、拾えば拾うほど硬くなり、固形化し、耳障りが悪くなり聴衆を離さない。都合がいい音だと思う。
本番前の雑談で、「射精をピークにしない」と語る呂布000カルマ氏。僭越ながら筆者天使弾道ミサイルの無個性的生き方に通ずる部分もあり、当り前だが差別をするから階層構造が生まれる。射精とセックスを差別すればピークが生まれるので、解釈が生まれ、階層構造が生じる。全てが等しい世界というのは全てがピークなので、言葉を差別しない呂布000カルマ氏の言葉は全てがピークなのだ。集中している間に感覚が研ぎ澄まされ、0秒で音を感じれるので、メロディが聞こえてこない。単音が連なってるだけの世界。集中とは集中がない世界。もはや何も感じない。庭に葉っぱが落ちてるだけ。もはやそんな千利休的世界感で、オーディエンスは一体となって、セックスと射精を差別した模様。
続いては死神紫郎。
筆者は何度も彼のパフォーマンスを見ているので必然的に見る目が厳しくなってくる。まず最近の彼は疲れている。疲れの原因というのは多種多様であるが、大方人に迷惑をかけたくないというものであろう。果たして迷惑とは何か?僕らは他人にかかる迷惑など想定しうるのか?他人との間に相違がある故に人は他人を想定するのだろうが、彼は差別主義者なのかどうかじっくり見ていこう。
この日のライブは死神氏の体調を鑑みて座ってのライブ。(いつもは立っている)だがこれが中々に良い。見慣れていないこともあるだろうが、音が飛び散らない。歩きながら演奏すれば当然ながら音は散る。それはそれだがこれもこれ。表情もいつもより柔らかく、お客さんも緩やかに見守っているので、やはりライブというのはオーディエンスと一緒に作りあげるものだろう。表現は悪いが、狂気の老人ホームといったところ。この狂気の老人ホームが何処へ向かうのか見守る。いいとこに行ってる気がする。急に雑な表現だが、雑なものが思考を帯びるだけなのでなるべく雑でいたい。死神氏はいいとこに行ってる。
ここから死神氏がどれだけお客さんと自分を差別しているかじっくり見ていこう。お客さんと共に場を作りあげているなら、どちらか片方が「これぐらい」となった瞬間に「これぐらい」となるだろう。無意識の間に他人と自分との間に合意形成がなされ、それなりになっていくのが世の常。死神氏は果たしてどれぐらいで聴衆が満足すると思っているのだろうか?自分が踏んだブレーキ加減と同じくらいの周りはブレーキを加減。ここに差別の境目がある。射精とセックスの境目がある。死神氏はブレーキを踏むのが早い気がする。なんとなく。なんとなくなのだ!それは壊れろとかそういった意味ではなく、ブレーキなんかはそもそもなく、他人と自分の境い目が早いのだ。壊れるというのは自分ではなくなるという感覚的なのものだが、自分でなくなるタイミングを早いこと見極めると極めて差別的でありピーク的なのだ。そこに良いも悪いも関係ないが、少なくとも筆者はそういった、他人と自分の境目がない体験をライブに求めてる、紫郎に求めてる。つまりエゴがなくなると気持ちいい。もっと信頼していいんだと思う彼は世の中を。もっと言えば彼の信頼をライブに求めているのかもしれない。それはそれ以前に彼のライブから、信頼以外を既に授かったからであろう。信頼以外をありがとう。死神紫郎
こうして無事?にライブは幕を開け、終演後には皆で酒を飲み明かし、どこまで行っても「己とはなんぞや?」的な表現活動は最高であり無意味だし、またやりたい。そう思える差別的な一夜だった。
筆者:天使弾道ミサイル
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